2017年度第1回講演会 結果報告

来賓

 

三島市長 豊岡武士 様

静岡県議会議員 宮沢正美 様

三島市議会議員 大房正治 様

三島市議会議員 岡田美喜子 様

三島市議会議員 大石一太郎 様

三島市議会議員 村田耕一 様

三島市議会議員 伊丹雅治 様

沼津市議会議員 山下ふみこ 様

三島市教育委員会 学校教育課指導主事 中越 進 様

三島市教育委員会 浅井由美子 様

三島市障害福祉課課長 青柳 健 様

三島市障害福祉課課長補佐 若林光彦 様

 

【一般参加者】

72名

【参加者合計】

84名


はじめに

 忙しい中、講演会に足をお運び下さった皆さま、本当にありがとうございました。三島市長を始め議員の皆さま、三島市関係部局の皆さま、幼稚園の先生方、そして県内外から参加してくださった多くの皆さまに、心より感謝申し上げます。

 

 第一部では、地域の通常学級で学んでいる聴覚障がい児はどのようなことに困っているのか、長年に渡り、支援のほとんどない聴覚障がい児・学生のために、インターネット、タブレットによる遠隔操作を利用した文字通訳など、全国25都道府県で教育支援に取り組んでこられた長野サマライズ・センター事務局長の小笠原恵美子さんが、「情報保障」という言葉を初めて聞く参加者にも分かり易くお話をして下さいました。

 

 第二部は、デジタル補聴器のグローバルブランドであり、ロジャーやロジャーペンなど、人工内耳や補聴器の補聴援助システムを取り扱っているフォナック・ジャパン株式会社よりマーケティング部マーケティングマネージャーの川津さんが、教室内での聴こえの課題と解決方法についてお話をして下さいました。

 

 また、会場の外にRoger(ロジャー)視聴体験ブースを作り、ロジャータッチスクリーンマイクやロジャーパスアラウンドマイクを手に取りながら、熱心に説明を聞く親子連れの姿が数多く見られました。

 

第一部

 

 第一部で小笠原さんは、難聴の子どもたちが言葉や音声をどのように聞いているのか、聞こえているのかを実際の音声データを使って解説して下さいましたが、聞いたことのある音や言葉(語彙)と、初めて聞く音や言葉(語彙)では、大きく聞き取りに差が出ることが、健聴者である我々にも体感でき、会場からは「おー」と言った驚きの声やため息が多数聞かれました。と同時に、子どもたちがどれほどの肉体的、精神的な負担を背負っているのかを初めて知ることができ、涙を流される保護者の方の姿も見られました。

 

 今回は聴覚障がい児生徒への授業支援のひとつの有効な方法として、「遠隔支援システム」をご紹介頂きました。この講演会中は、参加者に実際に「遠隔支援システム」を体験していただきました。自分のスマートフォンやタブレットに講師の話している言葉がリアルタイムで文字に表示されていく様子に、多くの方が「すごい」と驚かれたり、興味を持って下さったようです。

 

 現在、この「遠隔支援システム」は全国に広がっており、多くの大学が先行して導入している他、小中学校の義務教育課程はもとより、高等学校でも採用する自治体が増えてきました。

 この「遠隔支援システム」が三島市にも導入されれば、子どもたちの大きな支援に繋がります。今後私たち親子の会では、教育現場における聴覚障がい児生徒への「基礎的環境整備」と「合理的配慮」を訴え、子どもたちが学習活動に参加している「実感」や「達成感」を十分に得られるように、関係部局や現場の先生方と協議をしていければと考えております。

 

第二部

 

 第二部では多くの聴覚障がい児者に携わってこられたフォナックの川津さんが、様々な事例や実証データと共に、学校の教室がいかにうるさく、聴覚障がい児生徒にとって大変な場所かということを説明して下さいました。静かな環境だと十分に聞き取れていても、70dBを越える騒音の中で、音を獲得するのはどんな努力を持ってしても無理だということがよくわかりました。

 

 現在、三島市では一台分のロジャーの購入助成が認められていますが、静岡県内の他の自治体ではまだ認められていない所もあり、授業で使うことを拒否されるという報告も受けております。

 

 「合理的配慮」は、障がいのある子どもが十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要であり、示されているもの以外は提供する必要がないということではなく、一人一人の障がいの状態や教育的ニーズに応じて決定されるべきものです。何を優先して提供するかなどについて、本人、保護者、学校、行政の間で共通理解を図ることが大切だと考えます。

 

最後に

 

 「視覚と聴覚、どちらかひとつを返してもらえるならどちらを選びますか?」という問いに「聴覚を返して欲しい」と言ったヘレン・ケラーさんの有名な言葉を引用し、「聴覚障がいは情報障がい、コミュニケーション障がいである」とお話下さった小笠原さん。1910年にヘレン・ケラーさんが英訳して世界中に広まったドイツの哲学者イマヌエル・カントはこう言っています。

 

 「耳が聞こえないことは、人と人を切り離す」

 

 聴覚障がいは社会のあり方ひとつでその人の個性として受け入れられるようになります。

 子どもたちへのご支援を心よりお願い申し上げます。

多くのご感想をいただきました。

 

実際のお話をうかがい、子どもに対して普段の授業でも要約筆記を利用できたらいいなと思いました。しかし、それを行うために大変な準備と苦労があるのだと知り大変驚きました。お金の面でも多数の方に助けていただく為に必要になってくるのだと知り、考えさせられました。

(静岡市 小学2年生の保護者)


聴覚障がい児の生きにくさがよく理解することができました。発達障がいについては学校でも受けいれしていただけるようになってきましたが、身体障がい児については、三島でもまだまだ進んでいないので、これから力を尽くしていきたいと思いました。

(三島市議会議員さま)

 


子どもがこれから先にぶつかる問題を考えることができました。また、情報保障の重要性が分かりました。自分自身ももっと難聴を理解するのはもちろんですが、まずは自分の周囲にも理解してもらえるよう働きかけていけたらと思います。

(三島市 年中の保護者)


言葉だけではない、これから目指すべきインクルーシブ教育を真剣に見直すきっかけになったのでは。先生方の意識改革と障がいへの理解は急務の課題だと思う。是非研修の充実を。先生方、子どもたちをよろしくお願いします。

(三島市在住 一般参加者)


障がい者(児)対策の遅れは痛感しています。福祉社会、地域に近づくよう努力していきたいと思います。

(三島市議会議員さま)


今のハイテク技術を利用しながら、まわりの人の支援もすごく大事だと思いました。聴覚障がい者だけではなく、他の障がい者などもまわりが理解して支援することが大事なのではないかと思いました。

(御殿場市 小学校4年生の保護者)


まさしく地域の小学校にこの4月から通い始めました。すごく為になりました。

(長泉町 小学校1年生の保護者)


月並みな感想になってしまいますが、大変勉強になりました。切ないというか、涙が出てしまう、心に突き刺さるお話だったのが感想です。私たちが何年もかけて勉強し続けている「特別な支援を必要とするお子さんへの支援」の研修にも、大きく足りないことがあったと気付きました。何事にも事前の準備が必要であることも痛感しました。今日から今まで以上に聴こえに不自由のあるお子さんやそのご家族への応援、協力をしていきたいと思います。

(三島市 幼稚園教諭)


全く勉強不足のままご講演を拝聴して、遠隔支援システムを知りました。一人でも多くの聴覚障がいの方がこのシステムをマスターして日常生活を不自由なくおくられる社会となることを痛感しました。私ができる協力をしっかり考え直します。

(三島市中部地区民生委員さま)


今まで何も知らなかった、分かっていなかったということを痛感しました。とても分かりやすいお話でした。ありがとうございました。

(静岡県教育センター教育相談員さま)


情報保障の大切さがわかりました。ありがとうございました。

(三島市議会議員さま)


すぐにでも三島に導入して欲しいと思います。その体制を作るように応援したいと思います。

(三島市在住 一般参加者)


大変貴重なお話ありがとうございました。聞こえない体験、耳で聞く、脳で聞く違いがはっきり分かり勉強になりました。聞こえていない情報の多さを文字による情報で確認できれば子どもも安心して授業に望める、本当にその通りだと思います。娘が小学生になった時に、利用ができるように頑張りたいです。

(神奈川県 年長の保護者)


難聴のお子さんにとって「情報保障」がいかに大事なことなのか、今回のお話を伺う中で知ることができました。クラスに在籍しているお子さんが、普段どんなことに困っているのか、担任としてどんなことができるのか、考えていかなければ、また知っていかなければならないな、と強く感じました。難聴のお子さんが身近にいない(これまで)から知らない、わからない、ではなく、知る努力をしなければならないとも思いました。

(三島市 幼稚園教諭)


情報保障の必要性を感じました。小さな声を集めて働きかけたいと思います。教育に携わる先生方にも聞いて欲しいと思います。親がいくら説明しても、やはり一人のためだけには・・・という回答が多いので。

(富士市 小学2年生の保護者)


聴覚障がいによる情報不足→コミュ不足につながる説明がよくわかりました。山梨県ですが、地元でも同じ思いの方に講演をして欲しいと思いました。

(山梨県 小学5年生の保護者)


ともすれば子どもに「がんばれ」と言ってしまっていたと思います。情報保障の必要性と大切さを理解できて良かったです。

(東京都 年長の保護者)


情報保障の大切さ、実際に支援システムを利用した子の感想を通し、いかに聞き漏れが多いことがわかった。

(千葉県 年長の保護者)


遠隔情報保障システムの仕組みがとてもよく分かりました。親の責任として、出来ることを少しずつ増やしていけたらと思います。

(静岡市 年中の保護者)


難聴の理解されにくいところについて、改めて理解することができました。また、文字情報による保障を受ける上で子どもの語彙や読む力の大切さを感じました。通常学級でどんな支援が必要なのか、具体的に声を上げることが必要であることもわかりました。パソコン文字通訳が実施に至るまでに多くのご努力があることも知ることができました。

(長泉町 小学2年生の保護者)


情報保障の必要性やどのようにしたらいいのかが分かりました。必要性を感じたので積極的に動いていきたいと思います。

(東京都 年長の保護者)


私の息子は来年1年生になります。就学先についてや在籍するクラスについても悩んでいます。文字による情報保障についてはテレビでみたことがありますが、いまひとつピンときていませんでした。今回講演を聞いて、ぜひ今後導入していきたいなと思いました。

(川崎市 年長の保護者)


まだまだ沢山のご感想をいただいております。ご紹介しきれなかった皆さまにも心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。